現代のAIはとても便利で、絵を描くのが得意ではない人でも、素敵なイラストを簡単に作れるようになっています。しかし、AIイラストを使うときには「著作権」というルールに気をつけなければなりません。
今回は、AIイラストと著作権について、わかりやすく説明していきます。
AIイラストに著作権は存在するのか?
まず、「著作権」について考えていきましょう。著作権とは、作った人がその作品をどう使うかを決める権利のことです。例えば、絵を描いた人は、その絵を他の人に無断で使われないようにする権利を持っています。これが著作権にあたります。
では、AIが作ったイラストには、誰の著作権が関係しているのでしょうか?実は、AIが自分で考えて作ったイラストには、通常の著作権はありません。なぜなら、著作権は”人間が作った作品”にだけ与えられるものだからです。
著作権侵害ってどういうこと?
「著作権侵害」という言葉を聞いたことがありますか?これは、他の人が持っている著作権を許可なく使ったり、無断でコピーしたりすることです。
例えば、誰かが描いたイラストを勝手に使って、インターネットに投稿するのは著作権侵害になります。
AIイラストの場合も、同じように気をつける必要があります。例えAIが描いたイラストでも、AIが使っているデータ(元のイラストや写真)が他の人の著作権で保護されている場合、それを勝手に使うと法的問題になります。
AIイラストを使うときの注意点
では、AIイラストを使うときに、どんなことに気をつければいいのでしょうか?
いくつかのポイントを紹介します。
1. 使用許諾を確認する
まず、AIイラストを作るツールやアプリが、どんなルールでそのイラストを使えるかを確認しましょう。多くのツールは、利用規約にどのように作ったイラストを使ってよいかが書かれています。
「商用利用はできない」、「クレジット(著作者の名前)を表示する必要がある」といったルールがあるので確認することが重要です。
2. 著作権フリー素材を使う
もしAIが元にするデータが著作権で保護されている場合、注意が必要です。AIが参考にする素材が著作権フリーであることを確認しましょう。
著作権フリーの素材を使えば、著作権侵害のリスクを減らすことができます。
3. 自分でプロンプトを工夫する
AIに指示を出すプロンプトは、できるだけ自分で考えて工夫しましょう。他の人のプロンプトをそのままコピーするのは、著作権侵害になる可能性があります。
自分のアイデアでプロンプトを作り、オリジナリティ持った創作活動を行いましょう。
4. LoRA(ローラ)の権利を確認する
LoRA(ローラ)とは、”Low-Rank-Adaptation”の略で、非常に少ない計算量でAIの追加学習を可能にするモデルのことを言います。簡単に説明すると「少ないPCコストで独自の画風を再現するモデル」のようなものです。
モデルには様々な種類があり、アニメ風で、実写風、3D風など多岐にわたります。
こちらのLoRAは「civitai」というサイトで公開されているのですが、それぞれ制作者が権利を持ち合わせています。
そのため使用や商用利用を考えている場合、利用規約を確認し、そのイラストを自由に使ってよいかどうかを確認することが大切です。もし不安がある場合は、制作者側に確認するのも一つの方法になります。
どこからなら著作権侵害に触れないのか?
結論から話すと「他社の著作物を模倣したコンテンツ」でなければ、著作権侵害にあたることはまずありません。
内閣府によると、”一般的にAI開発のような情報解析等において、著作物に表現された思想又は感情の享受を目的としない利用目的においては 、原則として著作権者の許諾なく利用することが可能”とされています。
つまり、著作権者の利益を不当に害することがない限りは著作権侵害にあたることはないと言えるでしょう。
ただ、気を付けてもらいたい点として生成されたコンテンツに既存のコンテンツとの類似性が見られるようであれば、著作権者が著作権侵害として損害賠償請求や差し止め請求が可能であり、刑事罰の対象になりえます。
➤独自のプロンプトの組み合わせで新しいキャラクター画集をAIイラストで作成し、販売した
➡〇(類似性が見られない・著作権者が不利益を起こさないため問題なし)
➤ポケモンのデータ画像をAIに学習させ、類似性のキャラクターを生み出して販売した
➡×(元の既存コンテンツを学習させたことで類似性が生まれ、著作権者に不利益が起こる)
4. AIイラストを楽しむために
AIイラストは、とても楽しくて便利なツールです。
しかし、著作権を守ることはAIを活用していくうえでとても大切なことになります。
今回お話ししたポイントをしっかり押さえて、AIイラストを安心して楽しんで活用していきましょう。
- AIイラストを使う前に、アプリやツールの利用規約や使用許諾を確認する。
- 著作権フリーの素材を使って、リスクを減らす。
- 自分のオリジナリティを活かしたプロンプトを使う。
- LoRAなどは必ず利用規約の権利を確認してから使う。
これらを守れば、著作権侵害の心配をせずに、AIイラストを自由に楽しむことができます。ぜひ、AIイラストを使って、素敵な作品を作りましょう!